Excelが入っていないパソコンで、xlsxを開いて直す
取引先から届いた見積書がxlsx、しかし手元のパソコンにExcelが入っていない——買わずに済ませる方法をまとめました。開くだけなら表計算ソフトは要りませんし、中身を直すのも、やり方を選べば書式を壊さずにできます。作業はブラウザの中だけで完結し、ファイルはどこにも送信されません。
xlsxの中身は、値と書式が別々に入ったZIPです
拡張子が違うので気づきにくいのですが、xlsxファイルはZIPで圧縮されたフォルダです。中にはXMLという形式のファイルが10数個入っていて、役割が分かれています。
| 中に入っているもの | 役割 |
|---|---|
xl/worksheets/sheet1.xml | セルに入っている値と数式 |
xl/styles.xml | 色・罫線・太字・書式の定義(見た目のほぼ全部) |
xl/theme/theme1.xml | 配色やフォントのテーマ |
値と見た目が別のファイルに分かれているため、値だけを書き換えて、見た目のファイルには一切触れないという直し方ができます。ここが後の手順の要になります。
「別のソフトで開いて保存し直す」が書式を壊す理由
Excelが無いときによく取られる方法が、無料の表計算ソフトや変換サービスで開いて保存し直すやり方です。ところがこれは、ファイル全体を作り直す操作です。読み込んだソフトが解釈できなかった書式は、書き出しの時点で消えます。
実際に測りました。当社が配布している請求書テンプレート(罫線・色・結合セルを含む11個のファイルで構成)を、2つのやり方で書き換えた結果です。
| 比べた項目 | 別のソフトで開いて保存し直した | 値だけ差し替えた |
|---|---|---|
| 中身が変わったファイルの数 | 11件(全部) | 1件 |
| styles.xml(見た目の定義) | 14,593 → 1,171バイト | 14,593 → 14,593バイト |
| 見た目 | 太字・色・罫線が消え、列幅が崩れて文字が切れた | 元のまま |
見た目を決めていた定義の9割以上が失われました。開いた側のソフトに悪気はなく、自分が理解できる範囲で書き直しただけです。だからこそ、請求書や申請書のように書式が決まっている書類では、この方法を避ける必要があります。
Excelを持たずに済ませる4つの手順
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まず開いて中身を見る
届いたxlsxをそのまま読み込むと、シートの内容が表として表示されます。シートの切り替え・検索・並べ替えができるので、「中身を確認したいだけ」ならここで終わります。CSVとして書き出すこともできます。xls形式(古いExcel)とCSVも同じように開けます。
値を直して相手に返す必要があるなら、手順2へ進んでください。ここで別のソフトに読み込ませて保存し直すと、次の手順で説明するとおり書式が壊れます。いま手元に急ぎの請求書があるなら、手順4の雛形から始めるのがいちばん早いです。
「xlsx を開く」をひらく → -
値だけを書き換える
宛名や金額を直す場合は、書式に触れずに値だけを差し替えます(対象はxlsxのみ)。セルを選んで入力し、ダウンロードすると、編集したセル以外は元のファイルのままのxlsxが手に入ります。上の実測で「変わったファイル1件」だったのがこのやり方です。相手がExcelで開いても、罫線も色も送ったときのままです。
前ゼロの番号(
「xlsx を編集」をひらく →0011)が数字に変換されて桁が落ちる、という表計算ソフトにありがちな事故も起きません。文字列は文字列のまま扱われます。 -
手元のデータからxlsxを作る
提出用にxlsxで出すよう指定された場合は、CSVから作れます。列幅は中身に合わせて自動で調整され、日本語の文字コードも自動で判定します。Excelを持っていなくても、xlsx形式で提出する要件は満たせます。
「CSV Excel 変換」をひらく → -
書式が整った雛形から始める
請求書や見積書を一から作る場合は、雛形を使うほうが早く済みます。インボイス制度に対応した請求書テンプレートを無料で配布しています。ダウンロードして値だけ書き換えれば、手順2と同じやり方で仕上がります。
「請求書 テンプレート」をひらく →
xls(旧形式のExcel)が開けないときの対処
拡張子が .xls のファイルは、Excel 2003以前の旧形式です。Excelが入っていないパソコンではそもそも開けず、入っていても「ファイル形式と拡張子が一致しません」や保護ビューで止まることがあります。原因は主に次の3つです。
- Excelが無い: このページの手順1と同じで、ブラウザで開けます。「xlsx を開く」はxls(Excel 97-2003形式)もそのまま読み込みます。
- 拡張子と中身が違う: 業務システムが書き出す「.xls」の多くは、中身がHTMLやCSVです。メモ帳で開いて先頭が <html> や文字の並びなら、拡張子を .html や .csv に変えると開けます。
- ファイルの破損・保護ビュー: メール添付で途中で切れたファイルは開けません。送り主に再送を頼むのが確実です。保護ビューは「編集を有効にする」で解除できます。
xlsをxlsx形式にしたいときは、ブラウザで開いてCSVに書き出し、「CSV Excel 変換」でxlsxにする流れが使えます。書式は残らないので、値だけを引き渡す用途向きです。
Excelが無いときの選択肢を比べる(Googleスプレッドシート・Numbers・LibreOffice・ブラウザで開く)
| 方法 | 費用 | インストール | ファイルの送信先 | 書式の保持 | xls | スマホ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Excel(Microsoft 365) | 有料(月額または買い切り) | 要(Web版はブラウザ) | Web版はMicrosoftのクラウド | そのまま | 開ける | アプリで可 |
| Googleスプレッドシート | 無料 | 不要 | Googleドライブにアップロード | 再解釈される(罫線・列幅が変わることがある) | 開ける(変換) | 可 |
| Numbers(Mac・iPhone) | 無料(Apple製品に付属) | 付属 | 端末内 | 再解釈される | 開ける | 可 |
| LibreOffice Calc | 無料 | 要 | 端末内 | 再解釈される(上の実測で styles.xml が9割減) | 開ける | 不可 |
| ブラウザで開く(このページの手順) | 無料 | 不要 | 端末内(送信しない) | 値だけ差し替えれば元のまま | 開ける(値の差し替えはxlsxのみ) | 閲覧は可 |
「受け取って確認し、値を埋めて返す」までなら、ブラウザで開く方法が最も手数が少なく、ファイルもどこにも出ません。表を設計する・関数を組む・グラフを作るなら、表計算ソフトを用意したほうが早く済みます。
よくある質問
ファイルはどこかに送られますか?
送られません。読み込みから編集・ダウンロードまで、すべてブラウザの中だけで処理します。取引先から預かった見積書や、社内の給与データもそのまま扱えます。
値だけ差し替える方法で、できないことはありますか?
あります。できるのは既にあるセルの値を書き換えることだけで、行や列の挿入・削除、書式そのものの変更、グラフの編集はできません。レイアウトを作り変える作業には表計算ソフトが必要です。逆に言えば、「雛形の決まった書類に値を入れて返す」用途には過不足なく足ります。
数式は残りますか?
書き換えなかったセルの数式はそのまま残り、Excelで開いたときに再計算されます。数式が入っているセル自体を書き換えた場合は、そのセルだけ数式が入力した値に置き換わります(他のセルには影響しません)。
Excelを買わずに、この方法だけで仕事は回りますか?
受け取る・確認する・値を埋めて返す、という使い方であれば回ります。表を設計する、関数を組む、グラフを作るといった作業が日常的にあるなら、表計算ソフトを用意したほうが早く済みます。用途で選び分けてください。
xls形式(古いExcel)のファイルも開けますか?
開けます。「xlsx を開く」はxlsxに加えて、xls(Excel 97-2003形式)とCSVも読み込みます。ただし「値だけ書き換える」手順はxlsxだけが対象です。xlsを直して返す必要があるときは、開いてCSVに書き出し、「CSV Excel 変換」でxlsxにしてから編集してください。
Googleスプレッドシートで開くのと何が違いますか?
Googleスプレッドシートはファイルを一度Googleドライブにアップロードして、Googleの形式に変換して開きます。取引先の見積書や社内の給与データを外部に置くことになり、罫線や列幅も再解釈で変わることがあります。ブラウザで開く方法はファイルが端末から出ず、値だけを差し替えれば書式も元のままです。