- 静的サイトとは
- 静的サイトとは、アクセスのたびにサーバーでページを組み立てるのではなく、あらかじめ完成したHTMLをそのまま配信するWebサイトのことです。データベースや実行プログラムをサーバーに持たないため、表示が速く、攻撃対象や保守作業が構造的に少なくなります。
先に断っておくと、これはポジショントークです。僕はWordPressで飯を食っていない側の制作会社なので、そのつもりで読んでください。ただし、この記事の数字は全部出典付きか、僕のサイトの実測です。
そのうえで言い切ります。2026年のいま、新規のサイトをWordPressで作ることを、僕はおすすめしません。
✓記事の内容
- WordPressをおすすめしない3つの理由(公開データ+実測)
- それでもWordPressが向くケース(正直に)
- いま新規で作るなら何がいいか
なお、いまWordPressサイトを運用している方を否定する記事ではありません。当時はそれが最適解でしたし、僕の制作実績にも100記事超のWordPressサイトからの移行案件があります。この記事は「これから新しく作る人」に向けて書いています。
理由1:表示速度で、構造的に不利だから【公開データ+自社実測】
感覚ではなくデータの話をします。HTTP ArchiveのCore Web Vitals技術レポート(実際のユーザー環境の計測データ)によると、WordPressサイトでCore Web Vitalsに合格しているのは約49%。半分以上のWordPressサイトが、Googleの定める「快適なページ体験」の基準を満たせていません。一方、静的サイトフレームワークのAstroは67%。ページの重さの中央値もWordPressの約2.63MBに対してAstroは1.65MBです(Search Engine Journal・2026年5月)。
これはWordPressを使う人の腕の問題ではなく、構造の問題です。訪問のたびにサーバーでページを組み立てるWordPressと、あらかじめ完成したHTMLを配るだけの静的サイトでは、スタートラインが違います。
僕のこのサイトはAI(Claude Code)で作った静的サイトで、スマホ実測のLighthouseスコアはトップページ98点・記事ページ97点です(2026年7月17日計測)。
……と、ドヤ顔で書きましたが、正直に白状します。この記事を書くために計測したら、最初は73点でした。「WordPressは遅い」と書こうとした自分のサイトが遅かったんです。原因は見出し用のWebフォントが1.7MBあったこと。使っている文字だけにフォントを削ったら、デザイン無変更のまま98点になりました。かかった時間は1時間です。
なぜこの恥ずかしい話を書いたかというと、これが実測の本来の姿だからです。「速いはず」は当てにならない。測って、直す。そして静的サイトは、直せば素直に速くなります。WordPressで同じことをやろうとすると、プラグインとテーマとサーバーの三つ巴と戦うことになります。
理由2:持っているだけでお金と手間が漏れるから
WordPressはオープンソースで、本体・テーマ・プラグインの脆弱性が日々見つかります。放置されたWordPressが攻撃の的になることは、保守業者自身が口を揃えて言っていることです。だから「WordPress保守」という産業が存在します。相場は月額5,000円〜10万円、中心帯は月1〜3万円(2026年の保守費用調査より)。年間にすると12〜36万円が、サイトを「維持するだけ」のために出ていきます。
そして僕が一番引っかかっているのはここです。その保守費、何に払っているか説明を受けたことはありますか?「本体とプラグインの更新・バックアップ・監視」——それ、静的サイトなら最初から発生しない作業です。更新するプログラムがサーバーに無いのだから、破られるプラグインも、壊れるアップデートもありません。
参考までに僕の自社サイトの運用費は、Webflow時代が年10万円弱、いまの静的AIサイトはドメイン代の年1,500円だけです。

理由3:「WordPressしかできない事」が、もうほとんど無いから
かつてWordPressを選ぶ理由は「自分で更新できる」「プラグインで何でもできる」でした。2026年、この2つはWordPressの専売特許ではなくなりました。
- 更新のしやすさ→ノーコード(Webflow等)でもAIサイトでも、ブラウザやチャットから更新できます。実際このサイトのお知らせはInstagramから自動更新されています
- 機能の拡張→フォーム・予約・多言語・計測、どれも外部サービスやAI実装で足せます。僕はインボイスの計算ツールすらAIに作らせてこのサイトに載せました
- ブログ運用→このサイトはブログ70本超をCMSなしで運用しています。記事の追加はAIに指示するだけです
「WordPressでしかできない」が消えた以上、残るのは速度・保守費・セキュリティの比較です。そして上で見たとおり、そこはWordPressの弱点そのものです。
実例:100記事超のWordPressサイトを移行したとき、何が起きたか
「移行は大変そう」と思われがちなので、実際にやった案件の話を書きます。記事が100本を超えるWordPressサイトを、Webflowへ移行した案件です。
結論から言うと、URLは1本残らず維持できました。これが移行でいちばん怖いところなので、まずここは安心してもらっていいと思います。
やり方は地味です。先方からWordPressの管理画面のアクセス権をもらい、記事データをCSVで全件エクスポートして移しました。当時はAIが今ほど優れていたわけではないので、この抽出も含めて全部こちらで手を動かしています。逆に言えば、AIが使える今なら、ここはもっと速く終わります。
ここから先は、この記事のために正直に書いておきます。この案件での当社の担当範囲は、Webflowでの構築・すでに提出されていたデザインへの追加デザイン・SEOの基礎設定まででした。移行後の検索順位はこちらで追える立場になく、今も分かっていません。保守管理も受注していないので、保守費が移行前後でいくら変わったのかも分かりません。公開後の数値を共有されることがないまま終わった案件です。
「移行したら順位が上がりました」と書ければ記事としては強いのですが、見ていないものを書くわけにはいきません。むしろ、ここから引き出せる教訓のほうが実用的だと思っています。移行は、公開して終わりではなく、公開後の数字を誰が見るかまで決めて初めて完了するということです。作り替える側も発注する側も、ここを空白にしたまま進めると「移行はできた。でも良くなったのかは誰も知らない」で終わります。
それでもWordPressが向くケース【正直に】
フェアに書きます。以下に当てはまるなら、WordPressは今も合理的な選択です。
- 社内にWordPressの運用ノウハウと担当者がすでにいる(学習コストゼロは強い)
- 会員制サイトやWooCommerceなど、特定プラグイン資産への依存が深い
- 既存のWordPressサイトが大量にあり、管理を1つの仕組みに揃えたい
- 要件が特殊で、実績のあるWordPress専門チームが既についている
逆に「会社のサイトを新しく作りたい」「ブログで集客したい」「維持費は抑えたい」という普通の中小企業・個人事業に、2026年からWordPressを新規で勧める理由を、僕は見つけられません。
▶ Webflow自体の全体像はこちら: Webflowとは?できること・使い方・導入事例まで専門家がわかりやすく解説【2026年版】
じゃあ何で作るのか|WordPressの代替はWebflowとAI静的サイト
僕の結論は使い分けです。プラットフォーム選び全体の考え方は選び方の記事にまとめています。
- 個人〜中小企業:AIでの静的サイト制作。速くて、保守費が構造的にかからず、更新もAIに頼めます。僕の自社サイトの作り直しの一部始終はこの記事で全公開しています
- 大手・ガバナンス重視:Webflowなどの商用ノーコード。権限管理・サポート・安定性を買う選択です
いまWordPressで運用中の方は、慌てて壊す必要はありません。ただ、次のリニューアルのタイミングで「またWordPressで作り直す」前に、一度立ち止まって比較してほしい。当社は100記事超のWordPressサイトの移行実績もあるので、どちらが合うかの診断とレポートは無料でやっています。→ 無料相談はこちら/AIサイト制作の内容はこちら
最後にもう一度だけ。ポジショントークだと思って疑ってください。そして疑ったら、あなたのサイトをPageSpeed Insightsで測ってみてください。数字は、どちらの味方もしません。
よくある質問
いまWordPressで運用中のサイトもやめるべきですか?
急いで壊す必要はなく、問題なく動いていて保守体制があるなら継続で大丈夫です。判断のタイミングは次のリニューアル時で、速度・保守費・更新体制を比較して決めることをおすすめします。
WordPressはなぜ表示速度で不利なのですか?
アクセスのたびにサーバー側でページを組み立てる仕組みと、テーマ・プラグインの積み重なりが原因です。公開データではCore Web Vitals合格率が約49%にとどまり、静的サイト系より明確に低い水準です。
WordPressから移行するとSEOの評価はリセットされますか?
URLと内部構造を正しく引き継げばリセットされません。筆者は自社サイトのリニューアルでURLを全て維持し、旧記事のインデックスが翌日時点で大半維持されたことを実測で確認しています。
静的サイトにも弱点はありますか?
あります。会員制やECなど動的な機能が中心のサイトには向かず、外部サービスとの組み合わせや設計力が必要です。対応できる制作者もWordPressより少ないため、依頼先の見極めが必要です。