Cloudflareが無料のCMS「EmDash(エムダッシュ)」を2026年9月28日に正式公開しました(バージョン1.0)。僕が作って売っている国産ヘッドレスCMS「ハルCMS」と売りがほぼ重なっていて、最初に思ったのは「もうハルCMSは売れないかも」でした。
そこでEmDash CMSの公開ソースを読み、機能を1つずつハルCMSと比べました。結果、承認フロー・公開終了日時の予約・ID とパスワードのログイン・監査ログ・管理画面の日本語がEmDashには無いか弱いと分かりました。なのでハルCMSは売り方とターゲットを変え、「決裁と記録が要る組織」向けに売ることにしました。この記事はその比較と判断の記録です。
この記事の要点
- EmDash CMSとは
- EmDash CMSとは、Cloudflareが開発する無料のオープンソースCMSで、2026年9月28日に1.0が正式公開されました。AstroとCloudflare Workersの上で動き、隔離されたプラグインとAI用の窓口(MCP・ツール73個)を持ちますが、承認フローとIDパスワードのログインは無く、管理画面の日本語訳は約57%です(2026年10月20日・1.3.1で確認)。
目次
EmDash CMSとは:Cloudflareが作った無料のCMS
EmDash CMSは、Cloudflareが開発している無料のオープンソースCMSです。ライセンスはMITで、誰でも自由に使えて中身も改造できます。2026年4月に試用版が出て、9月28日に正式版の1.0になりました。この記事を書いた2026年10月20日時点の最新版は1.3.1です。
- WordPressの「精神的な後継」を名乗っている
- Astro(サイトを作る仕組み)とCloudflare Workersの上で動く。Node.jsやDockerでも動く
- プラグインは1つずつ隔離された環境で動き、記事やユーザーの情報に勝手に触れない
- AIから操作するための窓口(MCP)が最初から付いていて、ツールは73個
- 開発に参加した人は175人以上、コミットは1,800回以上(Cloudflare公式発表)
「もうハルCMSは売れないかも」と思った理由
EmDash CMSの売りが、ハルCMSの技術の売りとほぼ同じだったからです。
ハルCMSも「Cloudflare Workersの上で動く」「AI(MCP)で全部操作できる」「安全な作り」を売りにしてきました。ハルCMSの販売開始の記事でも「Cloudflareのように隅から隅までAPIとMCPで動かせる」と書いています。同じことを、Cloudflare本体が無料で出してきたわけです。開発者や制作会社に「月額で契約してください」と言う理由が、技術の面ではほぼ消えました。
EmDash CMSとハルCMSを比較した結果
結論:EmDash CMSは「開発者が自分で立てる1サイト用のCMS」で、ハルCMSは「運用込みで使う日本語のCMS」です。比べたのは、EmDash 1.3.1の公開ソース(GitHub)と、ハルCMSの現行の機能です。
EmDash CMSに無い・弱いもの
- 承認フロー:記事の状態は「下書き・予約・公開」の3つだけ。編集者が申請して承認者が公開する流れは無く、今後の予定にも見当たりませんでした
- 公開終了日時の予約:公開の予約はあるが、決めた日時に自動で非公開にする機能は無い
- ID とパスワードのログイン:パスキーが基本で、ほかはGoogle・Microsoft・GitHubのアカウントか、メールで届くリンク。ID とパスワード、2段階認証(TOTP)は無い
- 監査ログ:追加のプラグイン(試作段階の0.x)。記事の作成や削除は記録するが、公開とログインは記録しない
- 管理画面の日本語:3,515項目のうち1,504項目が未訳で、日本語になっているのは約57%
- 運用の受け皿:1サイトにつき1回デプロイする作りで、Cloudflareのマネージド版も商用サポートも無い
EmDash CMSが勝っているもの
- 無料で、中身を全部いじれる
- プラグイン、ブロック、ビジュアル編集。作れるサイトの自由度はハルCMSよりずっと上
- MCPのツールが73個あり、スキーマやメニューまでAIで触れる
- Cloudflareという名前と、開発の勢い
開発者が自分のサイトを作るなら、EmDash CMSを選ぶのは自然だと思います。料金で比べられる国産ヘッドレスCMSの一覧はヘッドレスCMSの料金比較にまとめています。
結論:ハルCMSのターゲットを「決裁と記録が要る組織」に変えた
新しいターゲットは、自治体・病院・学校・士業のように、公開の前に上長の承認が要り、誰がいつ何をしたかの記録が要る組織です。更新するのは職員や事務の担当者で、サーバーを立てる人はいません。
理由は、EmDash CMSに無いものが、そのままこの層の必須条件だからです。承認フロー、公開終了日時の予約、Googleを使わないIDログインと2段階認証、監査ログは、どれも自治体のプロポーザル向けにハルCMSへ入れた機能です。加えて、自治体の調達では「誰が運用の責任を持つか」を必ず問われます。無料のオープンソースは、そこに答えを持っていません。
ハルCMSの売り文句をこう入れ替えた
技術の売りをやめて、運用の売りに入れ替えました。
- 前に出す:承認・監査・ID ログインが最初から入った、日本語の運用込みCMS
- 前に出さない:Workersで動く・速い・AI対応・安全な作り。機能は残すが、売り文句の主役にしない
制作会社向けの「1契約でサイト数無制限」のStudioプラン(月2,980円・税込)は残します。ただし、LPや記事の主役からは外します。自分でCMSを立てられる開発者は、EmDash CMSに取られる前提で考えることにしました。
これからやること
- ハルCMSのLPと説明ページを、新しい売り文句に合わせて書き直す
- EmDash CMSが承認フローや監査ログを足したら差が縮むので、四半期に一度、公開されている提案(rfcs・proposals)を確かめる
- 差を保つ一番の手は、実際に使っている組織の数を増やすこと。稼働の実績は、無料のソフトには真似できない
Newtの終了に合わせて乗り換え先を探している方は、NewtからハルCMSへの移行手順も読んでみてください。承認フローやIDログインが要る組織でのCMS選びは、ハルCMSの紹介ページから相談できます。
制作実績
よくある質問
EmDash CMSとは何ですか?
Cloudflareが開発する無料のオープンソースCMSです。2026年9月28日に1.0が正式公開され、2026年10月20日時点の最新版は1.3.1です。WordPressの後継を名乗り、AstroとCloudflare Workersの上で動きます。
EmDash CMSは無料ですか?
無料です。MITライセンスのオープンソースで、料金がかかるのはCloudflareなどサーバーの利用料だけです。Cloudflareのマネージド版や商用サポートは、2026年10月時点ではありません。
EmDash CMSの管理画面は日本語に対応していますか?
一部だけ対応しています。2026年10月20日時点で3,515項目のうち1,504項目が未訳で、日本語になっているのは約57%です。未訳の部分は英語で表示されます。
EmDash CMSに承認フローはありますか?
ありません。記事の状態は下書き・予約・公開の3つで、編集者が申請して承認者が公開する流れは無く、今後の予定(rfcs・proposals)にも見当たりませんでした(2026年10月20日確認)。
EmDash CMSとハルCMSはどちらを選べばいいですか?
自分でサーバーを立てて1サイトを作る開発者ならEmDash CMS、承認フロー・監査ログ・IDログインが要り、立てずに日本語で運用したい組織ならハルCMSが向いています。





